西山産婦人科不妊治療センター[不妊一般治療・体外受精・顕微授精]

不妊治療基礎知識

PART1 不妊症とは

不妊症の定義

定義
生殖可能な年齢にあり、正常な性生活を営んでいる夫婦が、一定期間以上にわたって妊娠しない状態を不妊症(sterility)という。
期間
国際産婦人科連合  2年以上
アメリカ産婦人科学会  1年以上
日本  2年以上
原発性不妊症
夫婦間に一度も妊娠が成立しなかった場合。
続発性不妊症
夫婦間に一度以上の妊娠が成立したが、最終妊娠のあと、生殖可能な年齢にありながら妊娠しない場合。

不妊症といってもその原因はさまざまです。治療を始める前には、その原因を解明するために、あなたの月経周期に合わせていちばん良い時期にタイミングよく基本的な検査をしていきます。

年齢と妊娠率

女性は、30歳を超えると毎年 3.5%ずつ妊孕性(にんようせい)が低下 すると考えられています。35歳では25歳の女性に比べ生児を得る機会は 半分 になります。
結婚年齢が高くなると不妊症の頻度が高くなり、妊娠したとしても年齢とともに流産の頻度も増加します。

不妊となる状態

病院の検査で診断可能な不妊原因について順に説明します。

  1. 膣内に十分な数の形態が正常な運動精子が射精されない場合。
  2. 精子が子宮頸管内へ進入しない場合。
  3. 精子が子宮内腔を遡上して卵管の中を遊泳し、腹腔側の出口に達しない場合。
  4. 卵巣内で卵胞が順調に育たない場合。
  5. 卵胞の破裂が起こらない場合。
  6. 排卵後に残った卵胞の細胞から正常な黄体が形成されない場合。
  7. 卵子が卵管の口に取り込まれない場合。
  8. 卵子と精子が融合しない場合。
  9. 受精卵(胚)が正常に分割しない場合。
  10. 胚が子宮腔に運ばれない場合。
  11. 胚が子宮内膜に着床しない場合。

参考文献(1)

■コラム

カナダに宗教上の理由で避妊や中絶をしない人々がコロニーを築いて生活しています。そのような環境下では、生涯不妊の女性は2.4%、最終妊娠年齢が平均40.9歳。35歳以上では、11%の女性が妊娠していません。40歳までに33%が妊娠できなくなり、45歳までに87%となります。避妊をしなければ一生のうちで平均11人の児を分娩します。

不妊症の原因

1. 内分泌因子(排卵因子)
  1. 無排卵
  2. 卵胞発育不全、黄体機能不全
  3. 甲状腺疾患、副腎皮質疾患
原因部位により
  1. 間脳−下垂体性
  2. 卵巣性
2. 卵管因子
  1. 卵管通過障害(クラミジア、淋菌など)
  2. 卵管周囲癒着(虫垂炎、子宮内膜症、クラミジアなど)
  3. 卵管留水症・留膿症
3. 子宮因子
  1. 子宮奇形
  2. 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ
  3. 子宮腔癒着症
  4. 子宮内膜増殖不全
4. 頸管因子
  1. 頸管粘液分泌不全
  2. 頸管狭搾、頸管炎
  3. 抗精子抗体
5. 男性因子
  1. 無精子症、乏精子症、精子無力症
  2. 性交障害、射精障害
6. その他
  1. 子宮内膜症、膣閉鎖、膣欠陥、高度の膣炎
  2. 免疫学的不全、原因不明不妊

参考文献(2)

原因不明の不妊について

一般不妊検査(精液検査、フーナーテスト、基礎体温、超音波検査、および卵管疎通性検査など)で異常を認めない例が約10%存在します。これは、 機能性不妊 と呼ばれます。
健康な男女であれば1周期あたり25%の妊娠が期待できますが、機能性不妊と診断された場合は、1周期あたり1.5〜3%の妊娠率しか期待できません。

機能性不妊の中の異常と推定されているもの
  1. 受精障害(精子あるいは卵子に起因するもの)
  2. 潜在的な黄体機能不全症や黄体化非破裂卵胞
  3. 卵管采の卵子の捕捉障害
  4. その他

不妊因子の割合

生殖機能が正常な男女では、3ヶ月以内に50%、6ヶ月以内に70%、1年以内に90%近くが妊娠します。従っておよそ10%、10組の夫婦のうち1組が不妊症であるといわれています(「不妊のケア」日本産婦人科医会 平成13年発行)。

男女どちらに原因があるかについては、WHO(世界保健機関)が1996年に発表した統計があります。それによると、41%は女性側に、24%は男性側に原因があります。また、男女双方に原因があるケースは24%、原因が不明な機能性不妊は11%となっています。

不妊症の男女別原因
不妊症の男女別原因
女性の不妊因子割合
女性の不妊因子別割合

女性の不妊原因を調べた大規模な調査(6071 例)では、卵管通過障害の頻度が最も高く、次いで排卵障害となっています。

用語の説明

妊孕性(にんようせい)…
出産能力(妊娠する確率および予定日まで妊娠を維持する確率により決定される)。
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