これから人工授精を受けようとしている方や数回受けた方のために、簡潔にわかりやすく説明します。人工授精のアウトラインを理解いただけると、次に続く専門的な説明もわかりやすくなるでしょう。
膣から入った精子は子宮の中(子宮腔)へ入り、さらに泳いで卵管に入って卵管膨大部という少し広い所に到着します。精子はここで少しの間卵子が来るのを待ってから、あるいは少し前に来ていた卵子と出会って受精します。
以上が自然な出会いですが、卵管まで泳ぐ元気のない精子や仲間(数)が少ない精子たちはなかなか卵管膨大部までたどり着くことができません。そこでこのような精子たちを助けるのが人工授精です。人工授精では排卵日に合わせて、洗浄・濃縮した精子を直接子宮の奥へ入れます。そうすると、精子が少し元気がなくても、多少数が少なくても、あとは卵管に入って卵管膨大部へ行くだけなので卵子にたどり着きやすくなります。
人工授精で大切なのは、排卵日に合わせて実施するタイミングです。せっかく精子を入れてやってもすでに排卵が終わっていては意味がありません。このため、人工授精を受ける方は基礎体温をきちんとつけること、主治医の指示通りに経膣超音波による卵胞計測を受けることなどが欠かせません。
精子は膣内に射精されると、子宮の頸管、子宮腔、卵管を通り卵管膨大部に達し、ここで受精が行われます。しかし乏精子症、精子無力症、奇形精子症などの男性不妊の場合、膨大部に到達する精子の数が極めて少なくなります。人工授精は精子を子宮内に注入し、膨大部に達する精子数を増やすことで、受精を助ける方法です。
AIHは英文のArtificial Insemination with Husband's semenの略で、ご主人の精子を用いる配偶者間人工授精を指します。これに対して非配偶者間人工授精はAIDといいます。通常「人工授精」という時は配偶者間人工授精を指しているので、AIHと略されることが多いのです。
(WHO 1999)
採取した精子をそのまま子宮に注入する方法もありますが、当院では採取して頂いた精液を洗浄・濃縮して、形がきれいで動きの良い精子を集めて人工授精しています。この方法だと洗浄することで精液がきれいになって精液中の白血球、脂肪球、未熟な精子や奇形精子、死んでいる精子を取り除くことができ、妊娠率が高くなります。洗浄・濃縮した精子を、授精用カテーテルをつけたシリンジで子宮腔内に注入します。

人間の精子にはにおい物質をとらえる機能があり、この物質を頼りに卵子までたどり着いている可能性が高いと、米カリフォルニア大学とドイツの研究グループが発表しました。 精子の表面にはにおい物質がはまり込む「鍵穴」に当たる受容体があり、これは人間の嗅覚細胞にある受容体とよく似ているそうです。研究グループは、どんなにおいがこの「鍵穴」にはまるのか、約 100 種類の物質を使って研究し、その結果花の香りを出すのに使われる物質に最も強く反応することがわかりました。(IVP-News より)
当院の人工授精で妊娠された方のデータは当院の治療実績を参照ください。