西山産婦人科不妊治療センター[不妊一般治療・体外受精・顕微授精]

不妊治療基礎知識

PART3 不妊治療に伴う多胎

不妊治療と多胎

不妊治療、ことに排卵誘発剤および高度不妊治療(体外受精・顕微授精)の進歩は、不妊に悩むご夫婦に大きな福音となりましたが、同時に多胎妊娠という問題が起こってきました。多胎妊娠増加の要因として、一般不妊治療の排卵誘発剤による複数排卵や、高度不妊治療による複数個の胚移植(2個以上の受精卵を子宮に戻す)があります。

体外受精・顕微授精の多胎妊娠率(平成19年度/全国平均)
  体外受精
(新鮮胚)
顕微授精
(新鮮胚)
体外受精+顕微授精
妊娠数 7313 6284 13597
多胎妊娠数 926 715 1641
双胎 861 681 1576
三胎 62 34 96
四胎 2 0 2
五胎 1 0 1
多胎妊娠率 13.4% 11.9% 12.1%

日産婦誌2009年9月号

当院の多胎妊娠率

現在、高度不妊治療については、多胎妊娠を防ぐ目的で、子宮に戻す移植胚数は、35歳未満の方は1個、35歳以上あるいは2回以上の治療で妊娠に至らなかった方の場合は2個となっています(平成20年/日本産科婦人科学会会告)。この結果、全国的にも、体外受精および顕微授精による多胎妊娠率は大幅に減少すると思われます。

当院においては、3個までの移植が許可されていた頃でも移植胚数は1~2個以内(できれば1個が望ましい)としていたので、平成19年度においても、体外受精と顕微授精を合わせた多胎妊娠率は3.8%、体外受精(新鮮胚)5.2%、顕微授精(新鮮胚)0%と、全国平均(体外受精13.4%、顕微授精11.9%)よりかなり低値でしたが、平成20年4月以後は日本産婦人科学会の会告を守り【原則1個】としているので、多胎率はいっそう低いものになっています。

西山産婦人科高度不妊治療多胎妊娠率(平成19年度)
体外受精(新鮮胚)
5.2%
顕微授精(新鮮胚)
0%
体外受精+顕微授精
3.8%

多胎妊娠のリスク

多胎妊娠の場合、流早産、子宮内胎児発育遅延(IUGR)などのリスクが高くなります。また、下記の統計結果からは、単胎から双胎(2人)、三胎(3人)と胎児数が増えるに従って、在胎期間、出生体重が低くなり、結果として新生児の死亡率が高くなっているのがわかります。(単胎2.1%、双胎4.7%、三胎4.8%)。

不妊治療による多胎児の予後が悪くなる要因として不妊を引き起こす基礎疾患の影響、母体年齢の上昇、胎盤の膜性の問題、胎児間の体重差、児の在胎期間の短縮、児の出生体重の減少などが考えられます。

もちろん、多胎であっても無事に誕生する赤ちゃんはたくさんいますが、妊娠中、分娩、そして育児と考えていくと、多胎妊娠は母児ともに身体的、精神的、経済的、さまざまな面で負担となるといっていいでしょう。

双胎児、三胎児のリスク

大阪市立総合医療センター(1994〜2002年 計8年間)

  単胎 双胎 品胎
N= 6901 550 126
死亡退院 148 26 6
死亡率(%) 2.1 4.7 4.8
在胎期間(週) 38.5 34.8 31.4
出生体重(g) 2850 2055 1504

参考文献(7)

多胎妊娠を防ぐには

現在危惧されているのは、一般不妊治療における排卵誘発剤による過排卵と多胎妊娠です。排卵障害の治療には排卵誘発剤が使用されますが、使用する薬の種類や使い方によっては多数個の排卵が起こって多胎妊娠となる可能性があります。また、最近の薬は大変薬効が高くなっています。よく効くのはいいのですが、効きすぎに気をつけ、排卵数を抑えることで多胎妊娠を防ぐ必要があります。当院においては、一般不妊治療における排卵誘発剤の使用法、使用量に最大限の注意をはらい、多胎妊娠の防止に努めています。

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