アメリカ発の大変な不況の中で今年も新年が明けましたが、皆様、どんなお正月をお迎えになられましたでしょうか。
新聞によれば日本の人口も減少傾向にあるとのことであり、あまり元気の出る話は出てきませんが、当西山産婦人科では昨年1年間の不妊治療成績を集計した結果、大変元気の出る結果が出てまいりました。それは体外受精(顕微授精含む)で妊娠された方が56名と初めて50名を突破できたことでした。年間の総妊娠数は172名でしたので、総妊娠数の中における体外受精妊娠例の占める割合は32%に至りました。
AIH(人工授精)の妊娠数は43名でしたので昨年はこれも初めて体外受精が人工授精を上まわったことになった次第です。体外受精の妊娠率は約25%となり胚移植数が原則1個と少なくなったにもかかわらず昨年度よりよい結果でした。
このうれしい結果をふまえて、よくなった理由を我田引水ながら振り返って見ますと、
などが考えられます。
これらのことは、院長はじめスタッフ一同が最新機器を習得し練習を積み、
考察を重ねたことによるもので、今後も成績が上がっていくと期待するところであります。
当院の体外受精の特徴としてもう1つ申し上げておかねばならないことがあります。それは、当院では体外受精の培養液に添加する血清は、患者様本人のものを非働化して使用していることです。このことは体外受精の治療成績には直接影響することではありませんが、患者様の健康ということから考えれば大変重要な問題と考えています。
一般に血清は市販品が使用されていますが、市販の血清には一通りの感染症(エイズ、C型肝炎等)の検査が行われているとはいえ、100%の保証は得られないのが現状です。その為あえて患者様本人のものを使用するわけですが、当院と同じ立場で体外受精を行っている施設は、私の知るかぎりでは、関東の某有名私立大学などごく少数の施設にすぎません。
当院では単に治療成績のみに目をうばわれることなく、女性の健康あっての妊娠であることを念頭において今後も頑張りますのでよろしくお願い致します。
尚、本年からより治療を受けていただきやすくするために以下のように若干の治療費の変更を行いました。
(平成21年1月より)
初回 336000円(内消費税 16000円)、治療回数により減免システムありとし、4回目以後は231000円(内消費税11000円)となります。
先にも述べましたように培養に患者様の血清を使用するにはその処理のために、多くの時間と労力及び材料費が必要となるため、当院の体外受精の料金にはその分の経費を若干含ませていただいている点をご了承下さい。
今年から診察の予約ができるようになりました。
詳しくはお電話 059-232-0123 受付にて対応しています。
紡錘体は有糸分裂をしている細胞に前期の終わりから後期の初めまで現れて、紡錘糸と呼ばれる多数のタンパク質性の糸状構造からなり、役割をたとえて言うなれば、細胞が分裂するとき、細胞が持っている「染色体を新しくできる細胞に移動させる装置」と理解してください。つまり、もし紡錘体に傷がつくと、受精卵にとっては不都合なことが起こりかねないわけです。そこで現在、正常な受精卵を作る方法としてクローズアップされているのが、ICSI時に紡錘体の位置を確認しながら操作するシステム《Oosight TM Imaging System:Oosight(オーサイト)システム》です。
ICSI(イクシー)はもう皆さんご存知かと思いますが、卵細胞質内精子注入法のことで、精子を卵子の細胞質の中に注入します。今回の新しいシステムは顕微授精の際に、これまでよりもさらに卵子を傷つけないための、保護の程度を高める方法と理解して下さい。
ICSI(イクシー)はもう皆さんご存知かと思いますが、卵細胞質内精子注入法のことで、精子を卵子の細胞質の中に注入します。今回の新しいシステムは顕微授精の際にこれまでよりさらに卵子を傷つけないための、保護の程度を高める方法と理解してください。
ICSIでは、ホールディングピペットで卵子を固定した上で、卵子に精子を注入します。このとき、卵子の第一極体が12時、あるいは6時の位置になるように固定します。このように第一極体の位置をある位置に特定する目的は、細胞分裂の際に必須の装置とも言える紡錘体を傷つけないためです。一般にこれまでは紡錘体は第一極体のすぐそばにあると考えられてきたからです。 (「不妊治療勉強室」ページの「顕微授精について」をご参照下さい)
具体的にはこれまでの顕微鏡に特殊なレンズを装着することにより、紡錘体の位置を観察・確認します。特殊なこのレンズは小粒な優れもので卵子の質(紡錘体の位置づけ、紡錘体の密度《レターダンス値》、長さの測定や透明帯の精査情報)の数値的評価が可能です。そして紡錘体を傷つけないようにICSIができます。
なぜ紡錘体を守ることが重要かというと、紡錘体は細胞が減数分裂をする際に、染色体の正常な配置と分離に重要な役割を果たし、新しい細胞に染色体を移動させています。もし、紡錘体に傷がつくと、染色体異常などの不都合が生じ、受精できない、受精しても発育できないなどの困ったことが起こる心配もあるわけです。
これまでの顕微鏡では、紡錘体がどこにあるか正確に確認することが困難でした。紡錘体は直径25マイクロメートル(1マイクロメートルは1メートルの 100万分の1)という非常に小さなものなのです。通常、紡錘体は第一極体のそばにあります。このため、第一極体を顕微鏡で確認・固定しながら、これまではICSIを行ってきたわけです。しかし実際には、卵子のおよそ30%では、紡錘体は第一極体より約30度以上離れていると分かってきました。ARTでは受精の際の安全性を高めることが妊娠成功率の上昇につながります。Oosight(オーサイト)システムの導入は、顕微授精の妊娠成功率上昇につながるといってよいでしょう。実際に当院では平成19年から本システムを導入し、紡錘体の位置を確認した安全なICSIを行った結果、少数の卵子しか得られないケースでも無事妊娠にいたった患者様が徐々に増えています。
子宮に到達した受精卵は、外側にある透明帯を自ら溶かしながら、子宮内膜に接着して着床します。これをハッチング(孵化)といいます。しかし、なかには透明帯が破れにくく、着床がうまくいかないことがあります。このため、あらかじめ透明帯に穴を開けたり、薄く削ってハッチングしやすくすることをアシステッド・ハッチング(孵化補助)といいます。従来、アシステッド・ハッチングは酸を使って小切開されましたが、最近ではレーザーが使われるようになっています。従来の方法は技術者の能力に左右される面がありましたが、レーザーによるハッチングは機械的に行われる点で、簡便に均一にできるメリットがあります。当院でもレーザーによるアシステッド・ハッチングをはじめています。レーザーでのハッチングにより妊娠された患者様も多くなり、なかなか妊娠できなかった患者様に効果的なよい方法であると確信しています。 写真は採卵後3日目に胚移植を行い妊娠した例です。
