
不妊治療を受ける皆様へ
妊娠のメカニズムから、不妊治療の主役は女性が担います
不妊症とひとことでいっても、原因も、症状の程度もさまざまです。不妊症の原因は大きく女性側に原因がある場合と、男性側に原因がある場合とに分けられ、とくに、女性側の原因は非常に複雑です。
このため、検査の段階では、男性の基本検査は精液検査だけですが、女性の検査項目は非常に多岐にわたります。治療についても、たとえば、女性に不妊原因はなく、ご主人に軽度の男性不妊がある場合、人工授精が第一選択肢となります。人工授精の場合、男性の負担は精子採取だけですが、女性のほうは排卵を整え、排卵時期を正しく特定する検査を受け、最も妊娠しやすいタイミングをはかって人工授精を受ける必要があります。
このように、不妊治療ではともすれば女性への負担が大きくなります。しかし、これは妊娠という現象が、女性の精巧な体の仕組みに拠るためなのです。
妊娠は自然が女性だけに与えた素晴らしい力です。不妊治療の主役は女性自身と受け止め、治療の第一歩を踏み出していただきたいと思います。
急速に進歩する不妊治療に積極的にチャレンジする姿勢を
不妊治療の最前線にあるのが高度生殖医療(体外受精・顕微授精)です。
平成2年6月、三重県初の体外受精の赤ちゃんが当院にて誕生しました。平成6年2月、凍結胚移植による赤ちゃんが、同年3月には、顕微授精(囲卵腔内精子注入法)による赤ちゃんが、ともに三重県下で初めて当院でうぶ声をあげました。平成7年には、さらに、たった1匹の精子で受精可能な顕微授精(ICSI/細胞質内精子注入法)による妊娠・出産にも成功いたしました。
不妊原因はさまざまですから、赤ちゃんができにくいご夫婦すべてに高度生殖医療が必要なわけではありません。しかし、もし、検査の結果、体外受精が必要とわかった場合には、ぜひ、積極的にチャレンジする姿勢をもっていただきたいと考えます。
不妊治療は日一日と進歩しており、昨日まで不可能だった妊娠を可能にする力を持っています。
不妊治療は患者様の熱意にささえられています
不妊症の治療は医師の努力もさることながら、不妊症を克服したいと願う患者様の熱意にささえられています。とくにご夫婦の間の深い愛情と思いやりが基本です。
その意味で、もし妊娠の朗報をお伝えできるとしたら、ご夫婦の二人三脚に医師が加わっての、まさに三人四脚の努力が報いられた結果といえるでしょう。
当院は、「決してあきらめない」診療姿勢を守っています。治療を受ける患者様もぜひ、熱意をもって治療にチャレンジしていただきたいと考えます。