一般不妊治療・体外受精・顕微授精 西山産婦人科不妊治療センター

院長 西山幸江(生殖医療専門医・臨床遺伝専門医)
名誉院長 西山幸男(生殖医療専門医)

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クリニック便り

2023年3月号

テーマ 不妊治療の保険適用今後の問題点 (危惧・懸念)

不妊カウンセラー部門 より

令和4年4月より開始されました不妊治療の保険適用は間もなく一年となります。
不妊治療を考えて見える患者様にとって経済的負担を軽くし治療の門を広げた点では社会的貢献ができました。また社会の理解を深める一助となり環境の整備と精神面でのサポート体制もでき、少子化対策の一環にもやくだっています。
前の総理大臣、菅政権肝いりの医療改革は見切り発車で始まりました。しかし、保険適用で描いたこの制度は現時点で、一部の患者様と医療機関にとっては問題もあり不安の診療となっています。
まずは提出資料の多い点です。患者様に治療開始にあたっての説明書、同意書など毎月、毎回、または3か月に一回、6か月に一回など同じような内容であっても説明と同意が必須なことです。時間を気にされる患者様には精神的に不満となっています。
また治療の質の問題です。 自費診療の時は最新情報の治療を医療機関で患者様に瞬時に対応することができましたが保険適用では対応が難しいことがあります。 また、治療成績に直結する薬剤、治療使用の薬品などに制約が多い点です。 不妊治療、高度生殖医療などには高度な専門性が求められます。そのため専門医療機関では研修を重ね、成績向上につながる機器の使用に力を注ぎ技術の向上を収入の一部で運用してきました。保険点数では賄いきれない内容のものです。 自費でできた治療がそのまま保険でできない現状に多くの専門医療機関は身を削って成績の維持に努めていると思います。患者さんの負担を最大限に少なくできるように使用薬剤、消耗品、制限回数のある検査などをサービスの形でしているのではと思っています。また、医療者と患者様とが安心して治療を受けていただくためにする感染症の検査は病名がなければ保険を使うことができません。保険ではできない感染症検査の費用は診察開始前に自費で受けていただくことになっていますが、この感染症検査の中にはエイズの検査も入っています。以前、患者様の負担を少なくするとの考えから感染症検査なしで治療を開始する話を聞いたことがあります。
医療の安全を考えると不安になります。今後の課題は山積されています。
現状では、保険適用による運用では随時変更が通達されています。それに伴い専門部会も開かれているようです。
先日、2023年3月5日に不妊治療保険適用の勉強会が東京でありました。全国の不妊医療機関から長年、専門で診療に従事された先生方が集まり保険適用でのできることできないことを厚労省の方を交えて話し合われたのです。
当院からは西山幸江、西山幸男も参加してきました。
希望に満ちた保険適用は保険の縛りで行う不妊の医療機関には先の見えない懸念です。
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