一般不妊治療・体外受精・顕微授精 西山産婦人科不妊治療センター

院長 西山幸江(生殖医療専門医・臨床遺伝専門医)
名誉院長 西山幸男(生殖医療専門医)

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2013年夏号

テーマご夫婦が仲良く治療を続けるために 不妊治療最新情報 新出生前検査について

今年の春は桜前線や若葉まばゆい新芽の木々などと自然界に目を向けて感じることも少なく過ぎました。梅雨空に紫陽花が映える季節にも何かしっくりしません。真夏のように暑い日になったり不安定な大雨にみまわれたり、いたるところで「何か変‥?」を感じます。平和な日本とは言え、環境と社会の今後をみんなで個々に考えていきたいものです。「知識と知恵を絞って日本を活性化します」・「美しい国、強い国に日本を再生します」と言われていますが身近に実感できるアベノミクスの柱を願っています。

最近のニュースは「新出生前検査」です。

本年3月9日、日本産科婦人科学会は「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」を発表しました。4月1日以降は認定医療機関で検査が始まり、以来、この「新出生前検査」について取り上げる新聞やテレビ等が多くなっています。どんな検査なのかを改めて知りたいと思って見える方も多いので、できるだけ正確に、わかりやすくお伝えしたいと思います。

新出生前検査はどんな検査なのでしょうか

マスコミ等の報道では「新出生前検査」と簡略化されていますが、前述のように正しくは「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」といいます。
もう少し詳しく説明しましょう。

妊婦さんの血液を調べます。

「母体血」とは、母体の血液のことです。「母体血を用いた」とは、母体(妊婦さん)の血液を採血して行う血液検査のことです。

これまで行われていなかった新しい検査です。

「新しい」とは、これまで行われていなかった新しい方法であること、直接胎児を調べるのではなく、母体の血液を調べるという意味でも新しい検査法であることを指します。

検査対象はおなかの中の胎児です。

「出生前」とは、出生前の赤ちゃん、つまり、おなかの中の胎児が検査の対象になっていることを指しています。

胎児の染色体異常の一部を調べる検査です。

遺伝学的検査とは何を指すのでしょう。胎児の体を構成するすべての細胞の核には染色体があり、染色体はDNA(遺伝子情報)の集合体です。母体の血液中には妊婦さん自身の細胞のほかに、胎児の細胞も混じっています。この検査では特殊な方法を用いて、ごく一部ですが、胎児の染色体がもつ遺伝子情報を調べることができます。

3つの常染色体に限って数の異常を調べることができます。

通常、染色体の数は常染色体22対44本と性染色体2本の46本です。胎児の性別を決めるのが性染色体で、XとYの2種類があります。性染色体2本の組み合わせがXXなら女の子、XYなら男の子です。 常染色体(以下、染色体と略します)は、2本ずつが1対となり、長いもの順にそれぞれ1から22までの番号がついています。1対2本は同じ大きさと形をしているので、「相同染色体」といいます。ところが、数が少ない・多いなど、ときに数に異常が起こる場合があり、本来2本であるべき染色体が1本の場合を「モノソミー」、3本の場合を「トリソミー」といいます。新出生前検査で調べることができるのは、13番、18番、21番の染色体の数の異常です。たとえば、21番の染色体が3本ある場合(21トリソミー)は、ダウン症候群という染色体異常です。
注:遺伝の基礎知識については、「わかりやすい遺伝の話」連載(2007年春号・夏号・秋号)を参照ください。

検査を受けられる妊婦さんには条件があります。

新出生前検査は、希望する妊婦さん全員が受けられるわけではありません。日本産科婦人科学会では、希望者のうち下記のいずれかに該当する妊婦さんとしています。

  1. 超音波検査で、胎児が染色体数的異常をもつ可能性が示唆された方。
  2. 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常をもつ可能性が示唆された方。
  3. 以前に染色体数的異常をもつ赤ちゃんを妊娠したことのある方。
  4. 高齢妊娠(35歳以上)の方。
  5. 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆される方。
新出生前検査について知っておきたいこと
すべての染色体異常を調べることはできません。

染色体異常には数的異常の他に構造の異常があります。新出生前検査では、均衡型転座、微細欠失などの構造異常や胎児の染色体モザイクなどの異常は調べることはできません。ですから、新出生前検査ですべての染色体異常を調べることができると考えるのは間違いです。

新出生前検査は確定診断ではありません。

新出生前検査は少量の血液を採取するだけなので、妊婦さんにとっては身体的リスクのない簡便な検査法といえます。ただし、この検査だけで診断が確定するわけではありません。検査が陽性の場合は対象とする染色体異常のみられる可能性は高くなるが偽陽性がありうると指摘されており、陽性適中率は事前確率により異なるといわれています。また、検査が陰性の場合、対象とする染色体異常のみられる可能性はきわめて低いが0ではなく偽陰性がありうること、したがって対象とする染色体異常がないことを確定させることにはならないこと等が指摘されており最終的に診断を確定するには羊水検査などで詳しい染色体分析を行う必要があります。

羊水検査等で診断を確定します。

確定診断に必要な羊水検査は、妊婦さんのおなかに細い針を刺し、子宮の中の羊水を取り出し、羊水中にある胎児の細胞を採取して調べます。羊水検査を行った場合、300分の1 の確率で流産が起こる可能性があります。羊水検査以外の精密検査として絨毛検査がありますが、実施時期が妊娠9~11週と早期なため、主に妊娠15~20週ごろに行われる羊水検査より流産リスクが高くなる心配があります。

検査の結果、異常がわかっても治療にはつながりません。

新出生前検査はあくまでも検査です。この検査で高率にダウン症候群等の染色体異常が疑われ、羊水検査等で診断が確定しても、治療にはつながりません。

どこで受けることができるのでしょうか?

以上のようなことから、新出生前検査は、十分な遺伝カウンセリングの提供が可能な限られた施設において、行われるべきとされています。 少なくとも、出生前診断、とくに13番、18番、21番染色体異常について豊富な診療例をもち、臨床遺伝専門医でもある産婦人科専門医や小児科専門医が常勤していること、また、医師以外の認定遺伝カウンセラー、または遺伝看護専門職が在籍していることが望ましいとされています。

平成25年4月1日段階で認定されている医療施設

北海道大病院、岩手医大病院、宮城県立こども病院、国立成育医療研究センター(東京)、昭和大病院(東京)、横浜市立大病院、新潟大医歯学総合病院、名古屋市立大病院、藤田保健衛生大病院(愛知)、大阪市立総合医療センター、大阪大病院、徳島大病院、愛媛大病院、国立病院機構九州医療センター(福岡)、長崎大病院など詳しくは日本産科婦人科学会のHPに掲載されていますのでご確認ください。

最後に

今号では、平成25年3月9日に日本産科婦人科学会が発表した「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」に基づき、新出生前検査の概要を解説いたしました。 マスコミに多く取り上げられていることもあり、もっと詳しく知りたい、あるいは妊娠後の検査を受けたいと希望される方もみえると思います。 当院では、西山幸男院長および西山幸江医師はともに、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会認定生殖医療専門医です。また、西山幸江医師は日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会認定の臨床遺伝専門医でもあります。 詳しい説明は予約を入れて診察をお受けください。 次回は最近話題の「卵子老化の事実について」を取り上げ、情報社会で不安をお持ちの方に参考になるお話をできればと思っています。 卵子についてもう一度一緒に考えていきましょう。

西山産婦人科の診療体制についてのご案内

本年4月より水曜日を除き通常診療日は
院長西山幸男と共に女医、西山幸江が外来の診察をさせていただいています。
よろしくお願い申し上げます。
不妊カウンセラー 西山純江

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