一般不妊治療・体外受精・顕微授精 西山産婦人科不妊治療センター

院長 西山幸江(生殖医療専門医・臨床遺伝専門医)
名誉院長 西山幸男(生殖医療専門医)

NEW INFOMATION OF INFERTILITY

過去のクリニック便り

2010年夏号

テーマいつも健康&綺麗!女性の健康美を創る暮らしNo.1 「ホルモンの基礎知識-体の恒常性に欠かせないホルモン」

綺麗(きれい)という言葉には多彩な意味があります。美麗(びれい)が同意語であるように、「目に映る美しさ」があります。「綺麗な声!」というように、「耳に響く美しさ」も、また美しい景色、美しい音楽のように、心に安らぎを感じさせてくれるという意味もあります。 若々しくいきいきした健康な体と心のベースになるのは、体を取り巻く内外の環境の変化に対応し、体を正常に維持しようとすること、ホメオスタシス(生命維持機構)=「恒常性」なのです。

今回からのシリーズでは、心身ともに健康な女性美をつちかうヒントを、恒常性に関与するさまざまな体の仕組みを通してお知らせしたいと思います。
健康美の追求が、ホメオスタシスにより妊娠力のアップにつながることと思います。
連載第1回目の今号では、女性の健康美の根底にあるホルモンについて基本の知識を考えていきたいと思います。

ホルモンって何でしょう?

健康に、元気に、毎日を送りたい。体も心も若々しく、美しくありたい。 女性なら、どなたもが望むことではないでしょうか? 月経をリズミカルに繰り返すことや、お肌にツヤと張りを与えたり、女性に多い便秘や肌荒れをはじめ、気持ちのイライラなどもホルモンによる影響があると、いわれています。 ホルモンの主な働きは「体の調節機能」です。 大きく分けて

  • 内分泌ホルモン系
  • 免疫系
  • 自律神経系
に分類されます。
体の維持機構はとても複雑なホルモンの働きから成り立っていますので、体の仕組みに関与するホルモンの働きは簡単ではありません。そこでお子さんが欲しいと望まれる方に関係する内容に範囲を絞り、基礎勉強をしていきましょう。資料として日本内分泌学会の内容を参考にさせていただきました。
http://square.umin.ac.jp/endocrine/ippan_hormone/index.html

ホルモンとは

ホルモンの英語のスペルは「hormone」ですが、語源はギリシャ語の「刺激するもの」だそうです。現在、100種類以上のホルモンまたはホルモン様物質(ホルモンに似た働きをする物質)が発見されていますが、その数は今後さらに増えるだろうといわれています。これらのホルモンは血液中にありますが、その量はとても微量で、「50mプールに水をいっぱいに張って、その中にスプーン1杯分のホルモンを入れて混ぜた程度」の非常に少ない量といわれています。

●ホルモンは体の恒常性を保つ重要な働きをしています

ホルモンの働きを一言でいうと、「体の健康維持のためにいろいろな機能を調節すること」。私たちの体がいつもバランスよく保たれている状態を「恒常性(ホメオスタシス)」といいます。ホルモンはホメオスタシスを支える重要な働きなのです。
たとえば、妊娠に欠かせないのは排卵!そして排卵をコントロールするのもホルモンです。

●ホルモンは全身で作られています

ホルモンは脳の視床下部や下垂体、甲状腺、副腎、膵臓など、体のいろいろなところで作られています。どのホルモンも健康維持に欠かせませんが、女性の場合、卵巣に働きかけて卵子の成熟や排卵を起こすホルモンは下垂体から分泌されています。下垂体は小指の先ぐらいの小さな臓器ですが、約8種類のホルモンが分泌されていて、いろいろな臓器に大きな影響を与えています。 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、全身の代謝機能をコントロールする働きをします。副腎皮質(副腎の表面部分)からは、血圧のコントロールに必要なステロイドホルモンが出ています。膵臓が作るホルモンで有名なのは、糖代謝をコントロールするインスリンです。胃は胃液を出すだけ? いいえ、胃だけでなく腸からも、消化吸収や消化管の運動調節をする各種のホルモンが分泌されています。このほか、心臓の筋肉や血管、脂肪組織でもいろいろなホルモンが作られています。ホルモンは体のいろいろなところで作られているわけですね。

●ホルモンは大きく4つのグループに分けられます

ホルモンは大きく以下の4つのグループに分けられています。

ペプチドホルモン ペプチド(アミノ酸=タンパク質の素が数個から100個以上つながったもの)でできているホルモンで、ホルモン全体の大部分を占めています。女性の生理に深い関係をもつオキシトシンのほか、血糖を下げる働きをするインスリン、成長を促進する成長ホルモン、リンパ球などに作用するサイトカインなどがあります。
ステロイドホルモン 血液中のコレステロールを材料に作られるホルモン。男女ともに生殖機能に欠かせない性腺ホルモンのほか、副腎皮質ホルモン、ビタミンD3などがあります。
アミノ酸誘導体 アミノ酸を素に作られるホルモン。副腎髄質ホルモン(アドレナリン・ノルアドレナリン)、甲状腺ホルモンなどがあります。
プロスタグランディン 必須脂肪酸を原料とするホルモン。体のさまざまなところで作られ、多様な働きをしています。

ホルモンの研究が進むにしたがって、サイトカインやプロスタグランディンのようなホルモン様物質が重要な働きをしていることがわかってきました。現在では、体の中でいろいろな情報を伝え合う物質をまとめて、ホルモンと呼んでいます。

女性に大切なホルモン

すぐに思い浮かぶのは、「女性ホルモン」ではないでしょうか?  ただ、女性ホルモンは正式名ではなく、卵巣から分泌される性腺ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のうち、とくにエストロゲンを指す通称名です。エストロゲンをはじめ、女性に大切なホルモンはたくさんあって、前述したプロスタグランディンも女性にはとても関係の深いホルモンです。

●性腺ホルモンは月経のリズムを作ります

女性の場合、とても大切なのは、月経のリズムを作る性腺ホルモンです。
皆さん、よくご存知かと思いますが、復習の意味で整理しておきましょう。

■月経周期は4つに分けられます
月経周期は、月経期→卵胞期(エストロゲンが主役)→排卵期→黄体期(プロゲステロンが主役)の4つのリズムで形成されています。エストロゲンもプロゲステロンも卵巣から分泌される性腺ホルモンです。このことからもお分かりになるように卵巣はたとえると「ダムのような働き」をして、上流に豊かなホルモンの源流があるときに、卵巣にも豊かな水(ホルモン)があふれます。

■脳の視床下部が性腺ホルモンの源泉です
卵巣というダムをホルモンいっぱいにするのは、上流にある脳下垂体と視床下部の働きです。卵巣からさかのぼると、脳下垂体に出会います。脳下垂体からは卵巣を刺激するホルモンが湧き出ています。さらにさかのぼると視床下部に突き当たります。視床下部こそが性腺ホルモンの源泉! 女性の場合、視床下部(性腺刺激ホルモン放出ホルモン=GnRH)→脳下垂体(性腺刺激ホルモン=卵胞刺激ホルモン・黄体形成ホルモン)→卵巣(性腺ホルモン=エストロゲン・プロゲステロン)というように、ホルモンが流れて来ているのです。

●オキシトシンは信頼と愛情を育むホルモン?

オキシトシンも脳の視床下部で作られます。オキシトシンの働きとして、子宮収縮(陣痛)を引き起こしてお産の開始を誘うことや、赤ちゃんがお母さんの乳首を吸う刺激に反応して母乳を分泌させることなどが知られています。オキシトシンも視床下部→脳下垂体→子宮筋あるいは乳腺という流れをもっているわけですが、最近、オキシトシンは脳の中にも分泌していることがわかってきました。しかも、脳内で分泌されるオキシトシンには、他人を信頼する、家族を愛する、夫婦の絆が深まるなどの人間関係や社会的行動をコントロールしている可能性があるとも言われています。オキシトシンが「信頼と愛情を育むホルモン」と言われる理由です。テレビ番組で聞いたことがあるかもしれませんが「ほれ薬?」に利用しようなんて話で盛り上がっていたように記憶しています。気分がほぐれるホルモンなのかもしれませんね。お話の気分転換までに・・。

●プロスタグランディンが重要な働きをしています

月経のときに軽い、重い、の違いはあっても、多くの方が下腹部痛などの月経痛を経験します。この痛みの正体は何でしょう? キーワードはプロスタグランディンです。プロスタグランディンは、体内のさまざまなところで作られるとともに、多様な働きをもつホルモンです。心臓、血管、気管支などさまざまな臓器をキュッと緊張させたり、フ~~と緩めたりする働きもしています。プロスタグランディンは子宮でも作られ、月経中はこのプロスタグランディンが子宮筋を収縮させて、月経血をギュッと外に押し出す働きをしています。つまり、月経痛にはプロスタグランディンが関係しているのですね。

●プラスのストレスがホルモン環境を整えます

以上、性腺の働きに密接なホルモンを紹介しましたが、私たちの体のホメオスタシスを支えているのは、内分泌系ホルモンをはじめ、自律神経系や免疫系のホルモンの働きです。これらの働きに強い影響を与えるのがストレス! プラスのストレスは心身に適度な緊張を与えて、活力や元気の源になります。心身ともにいきいきしていると、表情も豊かに、若々しく見えます。一方、ストレスは万病の源ともいわれます。マイナスのストレスは自律神経やホルモンのアンバランスを招き、体の免疫機能を低下させて、心身の不調を招くことになります。ホルモン環境を整えるには、何事にもプラス思考で向き合うとともに、無理せず、休息のサインが出たらゆっくり休んでストレスを解消することが大切です。体は正直に答えてくれると思います。

次号ではいよいよ、具体的な生活法を手がかりに「健康美を創る暮らし」を考えていきたいと思います。第2回目は、「腸の健康を守って内側から美しく!」のお話を予定しています。お楽しみに!

PAGETOPへ